■はじめに
MNP(Mobile
Number Portability)、ソフトバンクによるボーダフォン買収、3.5Gサービスのテイクオフ、ワンセグ、イー・モバイルの新規参入など2006年度の携帯電話市場は、競争構造の点で大きな節目を迎える年となった。携帯加入者数は2006年度末時点で9,672万まで増加したものの、年間純増数の伸びは493万と昨年に続き500万を切り、減速傾向が続いている。
注目されたMNP商戦は、期待されたほど利用者が少なく、序盤戦を見る限り大きなシェア変動の誘発要因とはならなかった。しかし、利用者が従来以上に他社へ乗り換えやすくなったことは確かで、携帯キャリア間の顧客争奪戦は激しさを増している。
「端末」「サービス」という高付加価値化で動いていた市場の競争軸に新たに音声定額という料金競争で切り込んできたのがソフトバンクだった。基本料980円となるホワイトプラン、端末を無料で購入でき割賦販売方式の新スーパーボーナスを投入し、それまで瀕死の状態となっていた携帯電話事業の建て直しを推し進めた。その効果は大きく、ボーダフォン時代の2006年Q1には2.9%、Q2には7.1%だった純増シェアは、Q3に16.9%、Q4に23.1%、2007年度Q1には39.6%(純増トップ)へとV時回復を遂げた。
本レポートシリーズは、携帯電話キャリアの戦略、組織体制、収益・オペレーション分析、設備投資、サービスアプリケーション、端末などの体系的な分類に基づいて、企業別に調査・分析したものである。今回は2007-2008年版として携帯電話キャリア市場で躍進している「ソフトバンク
モバイル」について取り上げた。大競争時代を迎えた市場において、ソフトバンクもバイルがどのような戦略で成長戦略を描いているのか。そして、そのためのサービスアプリケーションや端末、更にはネットワークインフラなど、多角的な観点から分析を試みたものである。尚、本レポートシリーズでは、今後、他のモバイルキャリア、並びに市場を俯瞰した総括レポートについても順次、発刊してい予定だ。何卒、皆様の事業戦略の参考資料として、ご活用いただければ幸いである。 |