MCA「通信建設業者便覧 2020」の販売を開始
2018年度における通信事業者グループ各社の設備投資額合計は約2兆3,000億円となった。NTTグループが約1兆2,000億円、KDDIグループは約6,000億円、ソフトバンクグループが約4,000億円、電力系通信事業者合計は約1,000億円である。投資額合計は2017年度に比べ、約1,000億円の増加であり、通信事業者による投資抑制は終息したものとみられる。
通信事業者における通信建設投資は2018年度に約8,000億円と前年度横ばいとなっている。通建投資のうち、最も大きいのは固定系(アクセス)であり、約3,000億円と推測した。残りの固定系(ネットワーク)とモバイル系が2,500億円規模であり、モバイル系はスモールセル併設工事へのシフトが工事小規模化につながり、通建投資に影響した格好である。
通信建設業者各社の動向に関しては、全国系大手通建業者による地場系の統合が大きなトピックスになっている。コムシスホールディングスが2018年10月にNDSや北陸電話工事、SYSKENを、協和エクシオも同時期にシーキューブや日本電通、西部電気工業を吸収した。ミライト・ホールディングスも2018年10月にTTK、2019年1月にはソルコムと四国通建を吸収している。西日本エリアを中心とした再編完了に伴い、すでに完了していた東日本エリアでの再編とともに、地場系通建業者すべてが全国系3グループに傘下入りすることになった。
また、KDDIがNECネッツエスアイや富士通ネットワークソリューションズと通建業者を共同設立しており、ベンダ系通建業者へのKDDIの影響度が強まっている。ソフトバンクも一心グループへの資本参加を行い、通建業者との関係性を深め、今後の工事班確保に努める。
今後に関しては、通信事業者による投資は5Gサービスの開始、楽天モバイルの新規参入などの影響から微増傾向と予測した。通建工事自体も無電柱化推進法案による管路(埋設)工事の拡大、光卸の提供開始によるドロップケーブル工事の微増、トラフィック急増対策としてのセンタ設備工事の微増が想定される。モバイル系では、5G基地局工事の拡大が見込まれるものの、4G基地局工事の減少が想定され、基地局工事全体の工事量に大幅な拡大は期待できないものとみている。
本調査資料は変化を続ける通建業界の現状に関し、通信事業者の動向を把握しつつ、通建市場の実態を明らかにするとともに、全国の通建業者の事業概要を示すものである。