移動体通信・IT 分野専門の調査会社である株式会社 MCA（https://www.mca.co.jp/）は、スモールセルを巡るキャリア及びベンダ各社に関する市場動向調査を実施し、その結果をとりまとめました。調査結果の要点は以下のとおりです。
1.モバイルキャリア別の東京都23区の全基地局設置状況は、
・NTTドコモがマイクロセル（5～10W未満）中心
・KDDI（au）はピコセル（1～4W）中心
・ソフトバンクモバイルがマクロセル（10W以上）中心
のセル構成になっている。2.スモールセル新局数、2017年度には2013年度比3倍以上に増加へ
本調査結果については、調査レポート「スモールセルをめぐるキャリアおよびベンダ各社の戦略と市場展望」（本体価格200,000円）として発刊しています。
■調査結果抄録
□東京23区内の出力別基地局数
東京都23区における各キャリアの基地局展開状況は以下の通りとなっている。
NTTドコモはマイクロセル（5～10W未満）中心
マイクロセル（5～10W未満）が全体の半分近くを占め、1W未満の屋内局が非常に多い。都心部で1W未満のスモールセルを数多く展開し、大半がフェムトセル、残りがMOFやDASと呼ばれる屋内ソリューションになっている。
【出力別基地局数の推移（NTTドコモ）】
KDDI（au）はピコセル（1～4W）中心
ピコセル（1～4W）は半径50～100m単位できめ細かいエリア構築が可能で、高トラフィックの都心部に数多く展開している。ピコセルが全体の60%以上を占め、2012年度から急増傾向にある。都心部のマクロセルの設置がビルの屋上に限定されるのに対し、ピコセルは10㎏と軽量かつ小型であるため、ビルの壁面や電柱などへの設置が可能であり、ピンポイントにエリアを改善することができる。
【出力別基地局数の推移（KDDI au）】
ソフトバンクモバイルはマクロセル（10W以上）中心
都心部で高出力のマクロセルを数多く展開しており、NTTドコモとは逆のエリア展開である。マクロセル（10W以上）が半分以上を占有している。ソフトバンクモバイルは無線機の出力を高く設定することにより、各セルのパフォーマンスを重視したセル設計を行っている。
【出力別基地局数の推移（ソフトバンクモバイル）】
□無線機ベンダシェア
KDDIのスモールセル化戦略は、無線機ベンダシェアにも大きな影響を与えている。
各局の出力から各ベンダシェアを推定すると、KDDIのピコセルを提供するサムスン電子が局数ベースでは、エリクソンに並ぶ2番手に躍進している。
【キャリア3社の東京都23区における無線機ベンダシェア（総務省の登録局数ベース）】
□スモールセル新局数
今後の各社のスモールセル展開は、2016年度がひとつの分岐点になると予想される。そこでキーとなるのは、現在導入が検討されているLTE-Advanced R12に基づく3.4GHz-3.6GHz帯だ。
キャリア3社のスモールセルの新局数は、2013年度見込みで2万局あまり。これが2017年度には3倍以上に増加すると予想される。
【キャリア3社の新局数予想（全国ベース）】
3.4GHz-3.6GHz帯では、単に基地局が小さくなるだけではなく、スモールセルと既存帯域のマクロセルをキャリアアグリゲーションで一体運用して高速通信を実現する「アドオンセル」が導入され、基地局市場の構造は一変する。
その影響は、単にフェムトセルやWiFiベンダを含めた無線機ベンダだけでなく、これまで基地局建設を担ってきた工事会社にも及ぶと予想される。
■調査概要
急増するモバイルトラフィックへの対策の1つとして、注目されるスモールセル。
これまで基地局の主役をマクロセルから引き継ぎ、スモールセルは将来的には看板や信号機の中など街中に設置され、巨大なマーケットを形成すると期待されている。
しかし、キャリア各社のスモールセルへのアプローチは、現状の周波数帯域や基地局展開状況により、大きく異なると予想される。
現状の基地局展開状況を総務省の「無線局統計情報」を基に調査し、その分析を通じ、キャリア各社の現状の基地局展開状況とセル構造、さらにスモールセルへのアプローチや展開プロセスを明らかにし、今後のスモールセル市場展開を予測する。
併せて、無線機ベンダやデバイスメーカのスモールセルへの取組状況や戦略を調査、さらに工事会社を含めた基地局業界や市場構造に及ぼすその影響を考察する。
調査概要の詳細などは、PDF版のプレスリリースもあわせてご覧下さい。
■本件リリースに関するお問い合わせ
株式会社 MCA（MCA Inc.）
担当：大門 太郎（だいもん たろう）
E-Mail：info@mca.co.jp
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